鋏を置いて帰るまで振り返ってはいけない

八丈島には節分の日に、一風変わった方法で厄落としをする風習があります。
岸さん(ヨメ氏)が社会人になりたてのころ、島の友達に教わっておこなったそうです。
東京に住んでいながら、真冬の八丈島に来てまで厄落としをしたとは、よほど落としたい何かが憑いていたのでしょうか。

さて、その厄落としのやりかたですが、まずハサミを準備します。このハサミは文房具のハサミでも眉切りバサミでもなんでもいいらしいです。
そして節分の日の夜、一人で近所にある三叉路へ向かいます。その道中は決して振り返ってはいけず、人に見られてもいけません。
三叉路についたら、持ってきたハサミをそこに置き、来た道とは違う道を通って帰ります。

普段歩く道だとしても、振り返ってはいけないと言われるととても怖いですね。しかも手にはハサミを持っている。想像するとわりとホラーな光景です。

三叉路に置いていったハサミは、そのあとに通って見つけた人に拾ってもらう必要性があります。そのため、ハサミと一緒にお金を少し置いていくんだとか。
友人は拾ってくれる人のために、わざわざ吉祥寺でオシャレなハサミを買っていったそうです。拾った人はとても喜んでいたそう。誰が拾ったかわかるのは、繋がりの強い島ならでわですね。

ちなみに、この記事を書くにあたって、八丈島の厄落としのやりかたについてネットで検索してみたのですが、どうやら地域によってやりかたが違うようです。地域にによって、置いてくるものがクシだったり鏡だったり、また置いてあるクシは拾ってはいけないとか。時間も早朝の場合があるみたいです。小さな島内でも文化が違うものですね。

そんなわけで先日、節分の次の日に散歩がてらお金ハサミを探しに。
昼前だったので遅すぎたのか、残念ながらハサミは見つかりませんでした。しかし、いつもより歩いている人を見かけた気がします。小学生ぐらいの4人組と、墓場からビール片手にフラフラと一人歩いてきた男性はきっとそうでしょう、うん。
あのビールは拾ったお金で買ったのでしょうか。そうだとするとハサミも持っていたでしょうから、それも怖い話ですね。昼間に酔っ払った男性が墓場でハサミを持っていた。なかなか事件性を感じさせてくれる響きです。
来年こそは我々も落ちているお金を拾いたいものです。