トラさん脱走事件(後半)

<前回までのあらすじ>
夜陰に紛れ脱走を企てたトラ。
床下で追手をやりすごしていたところを宿敵・黒猫のフクに発見されてしまう。
増援を呼ばれニンゲンに取り囲まれるトラ…絶体絶命のピンチ!

お隣さんの床下でフクちゃんとにらみ合い、カチコチになっているトラさんを発見。
良かった見つかった!!とホッとしたのもつかの間、大事なのはここから。
この時は手を伸ばせば届くか届かないか、くらいの距離にいるトラさん。
刺激してさらに奥へと逃げられたらもう手が出せない!慎重な対応が求められます。

まずはトラの目と鼻の先で威嚇しているフクちゃんをどうにかせねば。
不思議なことに、こんなに近くにいるのに、トラに飛びかかったりする様子がないフクちゃん。
普段網戸越しに対面する時は飛び掛かりそうになることもよくあるのに。
トラに戦意がないことを悟っているのか、
「てめーさっさと家に帰れよ」というお叱りの威嚇なのか。。
ともかく、下手にこちらが手を出してフクちゃんを刺激してしまうと
そのままケンカに発展しかねないのでどうしたものかと手をこまねいていたところ、
オットが普段あげているカリカリご飯を持って来たりフクちゃんの名前を呼んだりしてたら
スッと床下から出てきたフクちゃん。ありがとうフクちゃん!アンタほんまに賢い子や!!

この機を逃すまいぞとトラさん捕獲作戦開始。
トラさんは手を伸ばしてようやく触れるくらいの距離にいるので、
最近お気に入りのおやつ「ちゃおチュール」でおびき寄せる作戦です。

いつもならチュールを鼻先に近づけると前のめりで食いついてくるのですが無反応。完全に固まっています。
私の後ろに、すぐ近くにフクちゃんがいるのでまだ警戒しているようです。
オットと友達に、フクちゃんを遠ざけてくれるように要請。
しばらくして「フクちゃん遠くに行ったよ」と声がかかったので
改めてチュールをあげたら、ようやくこちらを向いてペロリとなめた!
一口なめたらこちらのもの。チュールの誘惑には勝てないトラさんは
夢中でペロペロペロペロ…少しずつこちらに引き寄せられているとも知らず。。。
引き寄せられるところまでおびき出したら一気に捕獲!!
5.5kgの体重で抵抗をされたのでかなり重かったけど、
ここで放した二度と帰ってこないかもしれないと思うと絶対放すもんかと力が湧くもんです。
無事に確保!がっちり抱っこ!!

あぁぁぁぁぁあああ~~!!よかったよぅよかったぁぁあああーー!!!
ウワァァ━━━━━。゚(゚´Д`゚)゚。━━━━━ン!!!!

急いで家に駆け戻り、窓が全部閉まっていることを確認のうえトラを開放しました。
怯えて隠れるかと思いきや、何食わぬ顔で毛づくろいを始めて、「ふーやれやれ」って感じで水を飲むトラさん。
その後も何もなかったかのように人の膝の上で寛ぐトラさんでした。。。

ふーやれやれ

ちっとは悪びれろよ!!でもスキッ!(´〓`)無事でよかったよ!!

あとになって聞いた話ですが、フクちゃんを遠ざけて、と言われたオットは
エサをちらつかせたり名前を呼んだりしてなんとかフクちゃんの気をトラから逸らせようと奮闘。
そこへ「私がフクちゃんを(抱えて)遠ざける!」と意気込んだ友人がやってきて、
闇にまぎれたフクちゃんを探そうと半歩下がったところ
まさかのそこにフクちゃんがいて踏んづけてしまうというアクシデント発生!
リアル猫ふんじゃった状態。
当然フクちゃんはふぎゃぎゃぎゃぎゃと泣きながら飛び退り、
慌てた友人が「ごめんフクちゃん大丈夫?!」と駆け寄るも
ふぎゃぎゃぎゃぎゃと威嚇しながら逃げて行ったそうです。

結果的にトラから遠ざけてくれたわけですが、、、
恩人(猫)になんてことしてくれたんだと非難轟々の友人。
功労者なのに罪人扱いされる流人の島でありました。

その後のフクちゃんはというと、変わらず天気のいい日には遊びに来てくれます。
気がかりだったケガとかもなくて本当によかった…!
ありがとうそしてごめんなさい^_^;

飼い主さんに聞いたところ、フクちゃんは東日本大震災で津波に流されていたのを保護された猫だそうです。
福島のフクちゃん。不思議な縁で島にやってきたフクちゃん。
相変わらずトラさんと目が合うと威嚇しあう仲ですが、
うちにとってはまさに救世主。フクの神であります。

鎮座されるフクの神

<<終>>

トラさん脱走事件

先日、うちの愛猫トラさんが脱走しました。

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トラさんは繊細でおとなしく、まったりとした穏やかさんなのですが、
頭もよく、意外に抜け目のない子だったりします。
前の家でも網戸を器用に開けてベランダで風に当たったりしてました。
島に来てからも、一度ほんの一瞬のスキをついて網戸を開け
外に飛び出したことがあったんですが、我々が必死の形相で追いかけまわしたのに懲りたのか、
それからは自分で網戸を開けることもありませんでした。

そんな風に油断していた先日、夜の9時過ぎに、カーテンの影に隠れて網戸を開け脱走したトラさん。
その時、友人を招いて宴会中だった我々は、しばらくたってからそのことに気づきました。
気づいた瞬間真っ青になり、みんなで表に飛び出しあたりを探し回りました。
時間が時間なので、控えめな音量で名前を呼びながら。

トラは14歳ともうおじいちゃん。
都会のマンションでぬくぬく暮らしていた完全な箱入り猫です。
島の野良ネコちゃんに遭遇したら100%フルボッコにされてしまう。

夜、しかもうちの周りは街灯も少ないし、何より家の周囲がロベ畑!!完全なる闇です。
猫にとっては隠れる場所なんかいくらでもあります。
はっきり言って見つかるあてもなく途方に暮れていた時に、
縁側に近所の黒猫・フクちゃんが現れました。

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天気がいい日にはうちの庭先に現れ、トラさんと威嚇しあう間柄のフクちゃん。
夜にうちに来るのは初めてでした。
トラはもう戻ってこないかもしれない・・・と憔悴していた私は
「フクちゃん、うちのトラさん探してきてよ」と冗談半分で話しかけました。

「オレには関係ねぇぜ」とでも言いたげなクールな眼差しで闇に消えていくフクちゃん。
黒猫ってほんとに夜だとどこにいるかわからなくなるな・・・とぼんやりしていたら、
一緒にトラを探してくれていた友人が「なんか声しなかった?」と。
聞き耳を立てると、たしかに近くで猫のうなり声が。
トラの声だ!!!!

声のする方へ静かに近づいて行ってみると、お隣さんの床下から威嚇しあう猫の声が。
(島のお宅は湿気や鼠対策のため、高床式のおうちが多いです。うちもそうです)
床下を覗き込むとフクちゃんの目と鼻の先で固まるトラの姿が!!

い、いたぁぁぁぁぁ~~~!!!!

<<後半に続く>>

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